授賞式中止のお知らせ

2021.4.25更新


2021年6月8日(火)に開催を予定しておりました「第9回(2020年度)後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞」授賞式につきまして、国内で新型コロナウィルス感染症が拡大している状況を踏まえ、受賞者の皆様ならびにご列席者の皆様の安全確保を最優先に考慮し、今年度は開催をやむなく中止とさせていただきましたことをお知らせ申し上げます。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

-受賞者の声-


第9回(2020年度)後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞
(Kiyoko and Paul Bourdarie-Goto Scientific Prize)
ウェルカム・サンガー研究所/博士研究員
吉田 健一 殿 (Kenichi YOSHIDA, M.D., Ph.D.)

対象論文:Tobacco smoking and somatic mutations in human bronchial epithelium (Nature. 2020;578;266-272.)

まず、ポール・ブルダリ様のご逝去の報に接し、心から哀悼の意を表します。この度は名誉ある賞をいただき、財団の関係者の皆様および本研究を支えていただいた共著者の方々に感謝申し上げます。

従来から、肺癌においては喫煙に起因すると考えられる遺伝子異常が見られることが知られていましたが、がんを発症する以前の正常気管支上皮細胞において喫煙によりどのようなゲノム異常が起こっているかについては明らかになっていませんでした。そこで、本研究では正常な気管支上皮細胞におけるゲノム異常を詳細に解析することを目的としました。

結果として、正常な気管支上皮細胞においても喫煙を原因とする遺伝子変異が獲得されており、また肺癌の発症に直接つながると考えられるドライバー変異も喫煙により増加していることがわかりました。一方で、前喫煙者(喫煙歴があるが、禁煙していた人)では遺伝子変異の数が非喫煙者の数に近い、正常に近い細胞も喫煙者に比べて高頻度にみられ、禁煙による肺癌発症のリスクの低下と関係している可能性が考えられました。 本研究は煙草の健康被害を強調するとともに、禁煙の重要性を示し、これらのメッセージは将来的な肺癌撲滅へつながることが期待されます。本研究の成果をもとに、今後さらに肺癌の早期発見や将来的な発症予測につながるような研究を進めていきたいと考えております。

第9回(2020年度)後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞 特別賞
(Kiyoko and Paul Bourdarie-Goto Scientific Prize-Special Award)
京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学・特定准教授
茶本 健司 殿 (Kenji CHAMOTO, Ph.D.)

対象論文:Combination of host immune metabolic biomarkers for the PD-1 blockade cancer immunotherapy. (JCI Insight. 2020 Jan 30; 5(2): e133501.Published online 2020 Jan 30.)

この度は第9回後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞(特別賞)を頂き、心より感謝申し上げます。私はこれまで約20年間、「免疫」で「がん」を治療する「がん免疫研究」に携わってきました。約10年前までがん免疫治療は、眉唾物と捉えられており、その重要性を注目されませんでした。しかしPD-1阻害抗体治療の発見により、現在ではがん免疫治療ががん治療の最前線の治療法となっております。PD-1阻害抗体治療は肺癌領域においても第一選択肢となっておりますが、それでもまだ奏功率が30-40%程度(併用治療を含む)であり、効く患者と効かない患者を見分けるバイオマーカーを同定する必要があります。がん免疫反応にはがん側と免疫側の多くの因子が複合的に関与しており、バイオマーカーも単一ではなく、複数を組み合わせることが必要でした。この研究論文を評価していただき大変光栄に存じます。今後は我々の発見したマーカーの生物学的意義を明確にし、実臨床で使えるようさらに発展させていきたいと考えております。