論文選考の理念

当財団定款第4条は、「この法人は、癌(とりわけ、肺癌)の基礎医学及び臨床医学への研究支援、助成並びにその成果の普及を通して癌撲滅に寄与することを目的とする」と定め、第5条1項に事業として「癌撲滅に寄与する基礎医学医療及び臨床医学医療に関する優秀な研究論文を著した日本人医学者に賞金を付与すること」を定めています。顕彰の対象は「優秀な研究論文を著した」日本国籍を有する臨床医乃至は医学研究者とし、「癌(とりわけ肺癌)撲滅に寄与する基礎医学及び臨床医学に関する優秀な研究論文」と、基礎医学も広く選考の対象とされています。

選考にあたる諮問委員会には委員長が設けられていますが、他の諮問委員と同等の投票権を有するに過ぎません。各諮問委員は、過去において確定された評価を持つ論文を採択するのではなく、自身の経験と学識に照らして「将来において癌(とりわけ肺癌)治療の臨床と研究に著しく貢献することが見込まれる論文」を選定し、応募者の年齢、性別、経歴等に一切とらわれず、論文の内容の貢献度のみを採択の基準としています。

当財団はフランス人ポール・ブルダリ氏が、妻である後藤喜代子様を肺癌のため66歳の若さで亡くされたことをきっかけに、同じような悲劇が繰り返されないよう癌の撲滅を願い、そして亡くなった喜代子様の栄誉として人々の記憶に残ることを願って設立されました。

この基金が癌治療の臨床と研究に役立つと同時に日仏友好の一つの礎となることを願い、ブルダリ氏は諮問委員の一人はフランス人であることを強く望まれ、熟慮の上で初代仏人諮問委員としてパリ大学医学部附属病院呼吸器内科蘇生学科のベルトラン・ドーゼンベルグ教授を推薦されました。これにより、パリで豊かな臨床経験を持つフランスの著名な臨床医が、我が国の医学者とともに闊達に議論を交わすことができる場が実現しました。
(ベルトラン・ドーゼンベルグ教授は2024年6月に諮問委員を任期満了で退任。後任として、エリー・ファデル教授が就任。)
この国際性を特色とする諮問委員会を実りあるものとすべく、次のような方法を採用しています。

国際性を担保する仕組み

仏人諮問委員に対して以下の権限が付与されます。

  1. 第一次選考時に日本人諮問委員が選考した論文に、仏人諮問委員が必要と認めた場合に論文一篇を追加する権限
  2. 最終選考時に日本人諮問委員の1.5倍の点数を付与する権限

論文顕彰事業に関する規程

(趣旨)
第1条公益財団法人後藤喜代子・ポールブルダリ癌基金協会(以下、「この法人」という。)の定款第4条及び第5条第1項の規定に基づき、論文顕彰事業についてこの規程を定める。
(目的)
第2条この法人は、癌撲滅に寄与する基礎医学医療及び臨床医学医療に関する優秀な研究論文を著した日本人医学者に賞金を付与することを目的として論文顕彰に係る公益目的事業を行う。
(公募)
第3条前第1条の趣旨及び第2条の目的を達成するために応募論文については公募によるものとする。
前項のためにこの法人の事務局は、関係する機関宛に応募要項を送付し、併せてウェブサイトに公募に係わる情報を公開し、さらに関係学協会に周知を依頼するなど公募に係わる情報を広く知らしめるものとする。
(対象論文及び分野)
第4条すでに学術雑誌に英語で発表された論文とし、発表年は問わない。
論文の分野は、癌(とりわけ肺癌)の臨床医学および基礎医学(外科学、内科学、放射線科学、病理学、分子生物学、疫学のみならず、転移に関する他臓器分野、緩和医学、予防医学、終末期医学、生体医用工学等)とする。
(応募資格及び応募論文)
第5条応募資格は日本国籍を持つ臨床医または医学研究者であること。
(1)論文作成時点において日本国籍を有する者であること。
(2)申請論文の筆頭著者(First-Author)であること。但し、筆頭著者が複数の場合は、申請者以外の筆頭著者による同意書を必要とする
(3)英文で執筆され、既に学会誌等に公表された論文であること。従って学会誌等に受け付けされたものであってもIn Press(印刷中)の場合は申請できない。
(申請に必要な書類)
第6条申請に必要な書類は次の通りとし、この法人が定める方法で提出するものとする。
(1)申請書1(日本語および英語)
氏名、所属、身分(肩書き)、申請論文名、著者(共著者を含む)、発表年、発表学会誌名の他、補助論文のリスト(最大10編までとする。但し、申請者が筆頭著者または共著者であるものに限る。またIn Press(印刷中)のものでも補助論文に含めることができる)、その他様式に定める事項
(2)申請書2(日本語)
申請者自筆による申請の意思表示等を示すもの。
(3)主論文の全文
(4)補助論文の全文
(5)履歴書(日本語および英語)
(予算)
第7条この顕彰事業に係わる予算は、「助成顕彰費」として毎年度予算に計上し、理事会の承認を得るものとする。
予算はこの法人が保有する基金から毎年度寄付金振替により賄うものとする。
助成顕彰費の総額は毎年度500万円とする。但し、この法人の都合により理事会の決議を経て変更することができる。
(審査)
第8条論文の審査は、理事会が諮問委員会に諮問し、諮問委員会において審査し、その結果を理事会に答申するものとする。
審査に係わる手続きについては、別に定める諮問委員会規則によるものとする。
(顕彰)
第9条顕彰の種類は、第一位の者に対して「科学賞」を授与する。
必要に応じて第二位の者に対して「特別賞」を授与することができる。
(決定)
第10条科学賞及び特別賞の決定は、諮問委員会からの答申に基づき、理事会において予算の範囲内において顕彰金額と共に決定する。
(公表)
第11条顕彰者を決定した時は、選考理由を付してこの法人が管理するウェブサイトにおいて公表するものとする。
(その他)
第12条この規程に定めのない事項については、必要に応じて別に定めるものとする。
(改廃)
第13条この規程の改廃は理事会の決議により行う。
附則
1.令和5年5月23日 制定


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